自作Excel仕訳帳のおまけとして、勘定科目と補助科目のセットで管理するための設定手順を解説します。
補助科目の管理
補助科目は勘定科目を細分化して管理したいときに使用します。
青色申告のために必須ではないのですが、クラウド会計でも用意されていることから、仕訳に使っている方も多いと思います。
例えば、旅費交通費に対して「ホテル代」・「タクシー代」・「公共交通機関」、通信費に対して「携帯」・「切手・ハガキ」・「宅配便」などと設定します。
特に決まり事があるわけではないので、自分の都合がいいように決めて構いません。
このように勘定科目と補助科目との組み合わせで使用するので、クラウド会計では通信費の補助科目に「ホテル代」が使えないように登録できます。
次に、自作Excel仕訳帳でも組み合わせで運用できるように設定する手順となります。
「勘定科目」シートの設定
Sheetの編集
勘定科目 シート は以下の記事まで設定が終わっているところからの説明です。
account-it-dentist.hatenablog.com
「残高計算係数」列の隣の列にでも
= [(変換した)勘定科目]
と勘定科目をコピー表示する列を用意してください。
「(変換した)」 とありますが、のちほど説明します。
さらにその隣に「補助科目」を用意してください。
その勘定科目に対して、横に補助科目を登録していきます。
名前(の定義)への登録
「勘定科目」のセル範囲に名前(の定義)つまり範囲名をつけましたが、ここでは同様に、勘定科目を名前(の定義)にして、補助科目を範囲にして、登録します。
なぜ勘定科目を名前(の定義)にしたいのかはのちほど説明します。
ここでひとつ問題が出てきます。
セルの入力に使用できても名前(の定義)では使用できない文字があるからです。これらの文字を以降「禁則文字」と表現します。
上記で「(変換した)勘定科目」としましたが、この禁則文字を「名前(の定義)」に使える文字に変換する必要があるからです。
1つ目の例ですが、私は一般事業でなく不動産事業で使用した消耗品費に対して「消耗品費(不動産)」という勘定科目を用意していますが、 "(" と ")" は禁則文字です。
この場合は
= SUBSTITUTE ( [勘定科目], "(不動産)" , "_不動産" )
とすれば 大丈夫です。
括弧を多用している場合は "(" と ")" をそれぞれ変換するようにすればいいでしょう。
= SUBSTITUTE ( SUBSTITUTE ( [勘定科目],"(", "_" ), ")", "" )
2つ目の例ですが、勘定科目名の前にコードをセットしている方もいるかもしればせんが、先頭を数字にしている、例えば「0016_旅費交通費」という勘定科目にしているケースです。というのも数字を先頭に使用することができないからです。(先頭でなければ数字は使用できます。)
この場合は
= "_" & [勘定科目]
とすれば 大丈夫です。
禁則文字と関係なく、補助科目用の「名前(の定義)」だと分かるように頭に "AC-" (ACは勘定科目=accountの頭文字)などと付けるのもありです。
この勘定科目の禁則文字の使用確認と変換数式の設定は、これからやる「名前(の定義)」作成作業前に完了してください。
勘定科目1つ1つに対して「名前(の定義)」を作成していくのは大変なので、全ての勘定科目に対してまとめて作業できます。
(変換した)勘定科目の列と補助科目を選択します。
「名前(の定義)」の作成はリボンの「数式」タブにあります。この中の「選択範囲から作成」をクリックします。
ポップアップ表示された画面から「左端列(L)」のみにチェックを入れて「OK」します。
これで「(変換した)勘定科目」が名前(の定義)として登録されます。
登録された内容を確認したいときは「数式」タブの「名前の管理」をクリックします
(変換した)勘定科目が「名前」に登録されていることが確認できると思います。
(変換した)勘定科目に禁則文字が使用されていた場合に選択範囲から名前を作成しても、エラーにはならず自動的に禁則文字が使用許可されている文字("_"など)に置き換わってしまいます。
しかし、勝手に置き換わってしまうと自作Excel仕訳帳で想定された動きをしません。
そのため、必ずこの作業の前に勘定科目に禁則文字がないか確認してから作業を開始してください。
ここまで終わったら、不恰好なので「(変換した)勘定科目」の列は非表示にしておきましょう。
作業が完了したら、シートの保護を忘れないようにしてください。
「仕訳帳」シートの設定
「補助科目」の入力規則の設定
仕訳帳 シート は以下の記事に追加で設定をする説明です。
account-it-dentist.hatenablog.com
このなかの「補助科目」に対する入力規則の設定です。
入力規則は、リボンのデータタブにあります。
選択した勘定科目によって、表示される補助科目のリストが変わるように設定したいのですが、(変換した)勘定科目=名前(の定義)/範囲名となっていますので、これを利用します。
入力値の種類にはリストを、元の値には = INDIRECT ( [(変換した)勘定科目] ) という形で名前(の定義)つまり範囲名を指定してください。
INDIRECT関数について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
account-it-dentist.hatenablog.com
[勘定科目] は 仕訳帳シート の「勘定科目」セルを指していますが、変換する数式は 勘定科目シート で設定したときのものを設定してください。
下の例だと D3 は、「勘定科目」セルです。
このように設定すると、選択した勘定科目によって表示される「補助科目」が変わることが確認できると思います。
もし思ったように補助科目のリストが表示されない場合、設定した数式や登録された名前(の定義)が禁則文字などで自動的に変換されていないか、チェックしてみてください。
また、表示されるリストだけでなく、勘定科目と補助科目の不適当な組み合わせが登録できないようになります。
作業が完了したら、シートの保護を忘れないようにしてください。
ご質問は下の コメントを書く からお願いします。