そうはないのにあるときは立て続けにあるのが、葬式や結婚式です。
しょっちゅうあることでないことと領収書の添付がほぼできない特殊性から、青色申告個人事業主の仕訳とともに注意点に触れます。
取引先などの利害関係者への慶弔費
取引先などの葬儀や結婚式にあたり、香典やご祝儀、お花代などの出費があるケースです。
お花代であれ、香典、ご祝儀であれ、勘定科目は「接待交際費」を使います。
得意先のお嬢さんの結婚式への出席に伴い50,000円のご祝儀を現金で持参した、という仕訳です。
借 方 | 貸 方 | ||
---|---|---|---|
接待交際費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 |
式に出席するするために要した交通費や宿泊費も「旅費交通費」に計上することができますので、忘れないようにしましょう。
お花代の場合は他の経費と処理の仕方は変わりませんが、問題は通夜や葬儀に持参する香典と結婚式に持参するご祝儀のケースです。
次にこのケースの注意点について説明します。
取引先などへの慶弔費計上の注意点
本当に利害関係者への慶弔か?
慶弔費に限らずあらゆる経費にいえることですが、経費計上する前に本当にビジネス経費といえるのか確認しましょう。
友人に対する慶弔費や親戚への慶弔費は、プライベートな支出でありビジネス経費ではありません。
香典やご祝儀の相場より多額場合
香典やご祝儀は決められた金額でなく気持ちですが、一般的な相場があります。
相場より少ない場合は問題ありませんが、相場より高い場合は税務署から認められないおそれがあります。
面倒を避けるには、実際には相場より高い金額を支出した場合でも計上は相場範囲内におさえた方がいいでしょう。
もし相場より高い金額を計上するなら、なぜ高額な支出なのか税務署へ説明できるようにしておきましょう。
領収書が添付できない代わりにやるべきこと
一般的に香典やご祝儀は現金で持参し、領収書が発行されません。
また、経費計上のために領収書の発行を依頼するのもあまりに無粋です。
そのため、このようなケースは領収書を添付しなくてよいことになっています。
その代わりに招待状や案内などをできれば保管しましょう。
ただ、保管する癖がついている領収書と違い、これらの書類は保存するのを忘れてついつい捨ててしまいがちですので、「できれば」としています。
むしろ税務調査で説明できるようなメモは必ず残しましょう。
日時、葬儀場や式場の場所や名称などに加えて最も重要なのは、相手の関係性です。
例えば、「元銀行担当者の通夜参列」とか「新規販売先として営業中のデパートの担当者へのご祝儀」など、ちゃんと利害関係者に該当することが説明できるメモを残しましょう。(取引がなくても、取引してもらおうと営業攻略中なら利害関係者といえます)
従業員への慶弔費
青色申告個人事業主で従業員を雇われている方も多いと思います。
従業員へ支払う慶弔費は、「福利厚生費」に計上できます。
借 方 | 貸 方 | ||
---|---|---|---|
福利厚生費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
ここでいう従業員には専業従事者は含まれません。
このケースでは、銀行振込等で支払先を明確にして、証明できる資料を残すようにしたほうがいいでしょう。
事業主が直接持参して現金を手渡しする場合は利害関係者のケースに準じると思いますが、従業員本人が亡くなった場合を除いて従業員本人の領収サインをもらう書類を添付するようにしたほうがよいでしょう。
できれば、慶弔費に関する規程を作成しておくとトラブルが少なくなると思います。
というのも、好きな従業員だけに慶弔費を支払うようなことをすると福利厚生とはいえないと判断される可能性もあるので、福利厚生費としての妥当性を証明するうえでも用意しておくことをお勧めします。
退職した従業員への慶弔費
最初に、私は従業員を雇用していませんし、税理士資格もありません。
あくまで個人的意見になります。
退職した従業員への慶弔費は、「接待交際費」でも「福利厚生費」でもいいのではないかと考えます。
どちらも経費勘定で青色申告の利益算出には影響しませんし、どちらの勘定科目をつかっても違和感があるからです。
もちろん、退職時点で余命幾ばくも無かった元従業員であれば従業員に準ずる扱いに違和感はありませんし、退職後に見込み客を積極的に紹介してくれた元従業員は明らかに利害関係者です。
しかし、多くのケースでは退職した全従業員へ慶弔費を原則支払う規程でもない限り、現在従業員でないのに福利厚生費は違和感がありますし、事業と利害関係にない元従業員に接待交際費というのも違和感があります。
同じ経費勘定であれば勘定科目は何でもいいという態度はよくありませんが、理屈が通る勘定科目の候補が2つ以上あることもよくあります
重要なのはどんな経費か明確に説明できることだと思います。
例えば、切手代は一般的に「通信費」を使うことが一般的だと思いますが、仮に「消耗品費」で計上すると違和感はあります。
しかし勘定科目の選択ミスより、請求書などのビジネスに必要な書類を郵送するための切手代だったことを説明できれば大きな問題ではないでしょうか。
使用する勘定科目は統一したほうがいいと思いますが、どちらを使うにせよ元従業員に支出した慶弔費をなぜビジネス経費と考えたのかを説明できるようにしておくことが大切です。
今回は、固定資産と減価償却費の仕訳を解説しました。
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