確定申告書作成コーナー 青色申告決算書 (3/5)損益計算書(不動産所得)
国税庁の確定申告書作成コーナーによる青色申告決算書の作成手順の続きで、不動産所得の損益計算書(P/L)を作成します。
一般事業の損益計算書(P/L)作成の説明は以下の記事です。
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下の記事の登録までが完了した時点からの説明です。
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なお、e-Taxによる提出でも印刷による提出でも今回の説明は共通手順になります。
- 青色申告決算書の種類選択
- 損益計算書(P/L)の入力画面
- 収入金額の合計
- 必要経費の合計
- 専従者給与の合計
- 土地等を取得するために要した負債の利子の額
- 本年中における特殊事情・保証金等の運用状況
- 損益計算書の入力終了
青色申告決算書の種類選択
今回は一般事業の青色申告決算書の損益計算書(P/L)を作成するので、青色申告決算書(不動産所得用)「不動産所得がある方はこちら」の下にある「入力する」をクリックします。
今回は一般事業の青色申告決算書の損益計算書(P/L)を作成するので、「不動産所得がある方」の下の枠をクリックします。
損益計算書(P/L)の入力画面
期間は原則変更不要ですが、実態に合わせて変更してください。
自作の仕訳帳Excelからは残高試算表を元に入力していきます。
入力したものが無駄になるリスクに対して、適当なところで一時保存することをお勧めします。
一時保存の方法はこの記事をご覧ください。
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該当の勘定科目のところに残高を入力する、当該勘定科目が載っていない場合は勘定科目とその残高を入力するというのが操作の基本ですが、一部別画面に遷移して入力するものもあります。
別画面に遷移して入力する部分を中心に説明します。
収入金額の合計
「収入金額の合計」欄をクリックすると下に新たに欄が展開されます。
「賃貸料」と「礼金・権利金・更新料」、「名義書換料・その他」の各入力ボタンがあります。
どの入力ボタンをクリックしても表示される画面は同じです。
入力ボタンをクリックすると、収入一覧を表示する画面に遷移します。
ここでは新たに収入を登録する手順を説明します。
「不動産所得の収入を入力する」をクリックします。
収入の入力画面に遷移しますので、各項目を入力します。
入力項目が多いので、「賃借人の住所が不動産の所在地と同じ」ボタンを利用するなどして、入力効率を高めましょう。
一部項目に全角文字数の制約があるので、都道府県名や建物名を省略したり、「株式会社」を「(株)」にしたりなどして、収まるように工夫してください。
続けて別の物件の収入を入する場合は「続けてもう一件入力する」をクリックします。
「前件の入力内容をコピー」というボタンも出現するので、うまく利用して入力効率を高めましょう。
すべての物件の収入を入力したら、「入力内容の確認」をクリックすると、収入一覧の表示画面に戻ります。
項目のなかで「権利金」は、敷金や保証金とは異なるので簡単に説明します。
大雑把過ぎる説明ですが、権利金とは借地契約における礼金です。
必ずしも借地契約に限らないようですが、権利金は原則礼金と同様に返還されません。(私も詳しくないのですが、例外的に返還されることもあるようです。)
そのため、権利金に計上すると礼金と同様に所得税課税対象となってしまいます。
原則返還する敷金や保証金を権利金に計上すると、支払わなくていい税金を払うことになるので注意してください。
「敷金」や「保証金」は損益計算書(P/L)の勘定科目ではないのですが、期末残高の登録という点に注意してください。
ここで「敷金」や「保証金」に登録した内容は、貸借対照表(B/S)には反映されませんので、注意してください。
申告する会計年度に、敷金や保証金の受け取りがなくても残高がある場合は登録してください。
登録した内容が反映されて表示されます。
修正や削除したい内訳があれば「修正」や「削除」のボタンをクリックします。
完了したら、「次へ進む」をクリックすると、金額が集計されて損益計算書(P/L)の入力画面に戻ります。
ここに入力した内容は、損益計算書(P/L)の賃貸料[1]および礼金・権利金・更新料[2]に集計されるとともに、青色申告決算書の2ページ目に反映されます。
必要経費の合計
「必要経費の合計」欄をクリックすると下に新たに欄が展開されます。
経費となる各勘定残高を入力します。
入力画面に記載のある勘定科目は該当箇所に期末残高を入力しますが、記載のない勘定科目は空欄に直接入力して、期末残高を登録して構いません。
具体例を挙げると、支払手数料・会議費など損益計算書の入力画面に記載のない経費勘定科目を使用している場合も多いでしょう。
税理士等の報酬や震災関連費がある場合は、各勘定科目のラジオボタンにチェックを入れると、「入力」ボタンがクリックできるようになります。
ともに別画面に遷移して入力しますが、別画面の説明は省略します。
減価償却費
「減価償却費」の入力ボタンをクリックした場合は、「減価償却費の入力」画面が表示されます。
減価償却費を入力するには、原則固定資産を登録していくことになります。
別画面が表示されてからの減価償却費入力は、この記事で説明しています。
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遷移した別画面で登録した内容は、損益計算書(P/L)の減価償却費[8]に集計されるとともに、青色申告決算書の3ページ目に反映されます。
借入金利子
「借入金利子」の入力ボタンをクリックした場合は、「借入金利子の入力」画面が表示されます。
また下記の「土地等を取得するために要した負債の利子の額」の入力ボタンをクリックした場合も同じ画面が表示されます。
銀行等金融機関への支払利息は、下の欄に合計額を入力します。
なお、赤字のときに支払利息のうち土地部分を別途入力する必要があるのは損益通算が認められないためです。
各項目を入力し「次へ進む」をクリックすると、必要経費の合計の入力画面に戻ります。
ここに入力した内容は、損益計算書(P/L)の借入金利子[9]および「土地等を取得するために要した負債の利子の額」に集計されます。
金融機関以外への支払を入力した場合は、青色申告決算書の3ページ目に反映されます。
地代家賃
「地代家賃」の入力ボタンをクリックした場合は、「地代家賃の入力」画面が表示されます。
各項目を入力し「次へ進む」をクリックすると、必要経費の合計入力画面に戻ります。
支払先の情報は大家さん(貸主)のことなので、賃貸契約書などを参照して転記してください。住所は物件住所ではないので、間違えないように注意してください。
ただし、全角28文字以内の制約があるので、都道府県名や建物名を省略したり、「株式会社」を「(株)」にしたりなどして、収まるように工夫してください。
賃借物件には "事務所" や "駐車場" 、"倉庫" など、賃貸物件の用途を入力すればいいでしょう。
「本年中の賃借料・権利金等」には、それぞれ以下の内容を入力します。
- 権:権利金、敷金や礼金など
- 更:更新料(家事按分前)
- 賃:賃借料(家事按分前の年額ベース家賃と考えてください)
ここに入力した内容が貸借対照表(B/S)に反映されることはありません。
「必要経費算入額」に入力した金額は、損益計算書(P/L)の地代家賃[10]に集計されますので、経費算入できない家事相当分や敷金・保証金などを減額した金額を入力します。
また、この画面に入力した内容は、青色申告決算書の3ページ目に反映されます。
給料賃金
「給料賃金」の入力ボタンをクリックした場合は、「給料賃金の入力」画面が表示されます。
給料賃金の入力画面に遷移しますので、各項目を入力し「次へ進む」をクリックすると、経費の合計入力画面に戻ります。
ここに入力した内容は、損益計算書(P/L)の給料賃金[11]に集計されるとともに、青色申告決算書の2ページ目に反映されます。
専従者給与の合計
「専従者給与の合計」欄をクリックすると下に新たに欄が展開されます。
「入力」ボタンをクリックします。
専従者給与の入力画面に遷移しますので、各項目を入力し「次へ進む」をクリックすると、必要経費の合計入力画面に戻ります。
ここに入力した内容は、損益計算書(P/L)の専従者給与[20]に集計されるとともに、青色申告決算書の2ページ目に反映されます。
土地等を取得するために要した負債の利子の額
「土地等を取得するために要した負債の利子の額」の入力ボタンをクリックした場合は、「借入金利子の入力」画面が表示されます。
上記の「借入金利子」の入力ボタンをクリックした場合と同じ画面が表示されます。
本年中における特殊事情・保証金等の運用状況
手書きの場合青色申告決算書の4ページ目(貸借対照表の右)に本年中における特殊事情欄に記入できます。
損益計算書の入力画面から、この欄に出力される内容を登録できます。
「本年中における特殊事情・保証金等の運用状況」の入力ボタンをクリックした場合は、「本年中における特殊事情等の入力」画面が表示されます。
震災関連費を選択した場合は、入力欄は震災関連費の下に表示されています。
損益計算書の入力終了
入力が完了したら、「次へ進む」をクリックします。
入力した数字が集計されて、「青色申告決算書の種類選択」画面に戻ります。
以上で、青色申告決算書の損益計算書(不動産所得)への登録作業の説明になります。
次回は減価償却費の登録について説明します。
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