何十年ぶりに数学の整数問題を解いてみました。
数式の入力方法が分からず、すべて画像のため読みづらいと思いますが、ご容赦ください。
問題
(大阪大学)
どのような負でない2つの整数 m と n をもちいても x = 3m + 5n と表すことができない正の整数 x をすべて求めよ。
解答例
n を 3 で割ったときの余りにより場合分けして検討する。
n は 0 以上の整数なので、 k を 0 以上の整数とすると n は 3k, 3k + 1, 3k + 2 のいずれかで表すことができる。
- n = 3k のとき
x = 3m + 5n = 3m + 5 × 3k = 3 (m + 5k)
m および k は 0 以上の整数なので、 0 以上の 3 で割り切れる整数は与式で表すことができる。 - n = 3k + 1 のとき
x = 3m + 5n = 3m + 5 (3k + 1) = 3 (m + 5k) + 5 = 3 (m + 5k + 1) + 2
m および k は 0 以上の整数なので、 5 以上の 3 で割って 2 余る整数は与式で表すことができる。
よって、 2 は与式で表すことはできない。 - n = 3k + 2 のとき
x = 3m + 5n = 3m + 5 (3k + 2) = 3 (m + 5k) + 10 = 3 (m + 5k + 3) + 1
m および k は 0 以上の整数なので、 10 以上の 3 で割って 1 余る整数は与式で表すことができる。
よって、 1, 4, 7 は与式で表すことはできない。
以上から、求める値は 1, 2, 4, 7 。
説明
説明の前に、解答例は格好つけた記述をしていますが、時間制限のあるテストでの記述は、これから説明する書き方になると思います。
「0以上のあらゆる整数」といえばいいもののまどろっこしい表現をしていますが、1次式のシンプルな与式のため、方針を立てにくい問題だと思います。
そのため、具体的な値を代入して実験してみようと試みるのが当然でしょう。
ただ、むやみに (m, n) = (0, 0), (0, 1), (1, 0) ,(1, 1), (0, 2), (2, 0), (1, 2), (2, 1), (2, 2) と代入して手も足も出ないとなった方も多いのではないでしょうか。
まず、整数問題のよくある解法パターンを検討してみましょう。
王道の籍の形をつくることは無理でしょう。
次に範囲を絞るというのも、負でない整数(0以上の整数)という条件とシンプルな与式から無理そうです。
ということで、倍数(約数)と余りに注目するという解法を方針にします。
普通はまず偶奇に注目しますが、与式に “3m” があるので3で割ったときの余りに注目する方針をまず検討します。
私が使い慣れていないからかもしれませんが、合同式(mod)では扱いづらそうだったので、解答例では使用していません。
さて、方針を決めたうえで実験してみようと考えれば、 m は文字のままで実験しようとなります。なぜなら、“3m” は必ず3で割り切れるので値を代入して実験する意味がないからです。
ここからは n に値を代入して実験していきますが、説明というより現実的な解答記載例に近いものになります。
- n = 0 のとき
x = 3m + 5n = 3m
m は 0 以上の整数なので、( 0 は求めるべき値の範囲外ですが) 0 以上の 3 で割り切れる整数は与式で表すことができる。 - n = 1 のとき
x = 3m + 5n = 3m + 5 = 3 (m + 1) + 2
m は 0 以上の整数なので、 5 以上の 3 で割って 2 余る整数は与式で表すことができる。 - n = 2 のとき
x = 3m + 5n = 3m + 10 = 3 (m + 3) + 1
m は 0 以上の整数なので、 10 以上の 3 で割って 1 余る整数は与式で表すことができる。
ここからは繰り返しになります。 n = 3 のときは x = 3m + 5n = 3m + 15 = 3 (m + 5) となって 1. に含まれ、同様に n = 4 のときは 2. 、 n = 5 のときは 3. に含まれることとなり、これより大きい数字は 3 で割った余りによりこのパターンの繰り返しになります。
解答例はこれの言い換えに過ぎません。
この問題は方針さえ立てれば、落とし穴的要素もなく容易に満点をとれるでしょう。ただ、その方針をたてることが難しいと思われるので、0点という人も多かったと思います。部分点の人があまりいなくて、満点か0点かがほとんどと予想できるので、この結果が合否を分けた可能性は高かったかもしれません。
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