何十年ぶりに数学の整数問題を解いてみました。
数式の入力方法が分からず、すべて画像のため読みづらいと思いますが、ご容赦ください。
問題
(一橋大学)
a4 = b2 + 2c を満たす正の整数の組(a, b, c)で a が奇数であるものを求めよ。
解答例
a4 = b2 + 2c から a4 - b2 = (a2 + b) (a2 - b) = 2c 。
a, b は正の整数のため、 a2 + b > 0 であり、 a2 + b > a2 - b であることから、
a2 + b = 2m ---- (1)、a2 - b = 2n ---- (2)、m + n = c ---- (3)( m, n は0以上の整数で m > n とする。)と表すことができる。
(1)式と(2)式の両辺を足すと
a2 + b + a2 - b = 2m + 2n
整理すると
2a2 = 2n( 2m-n + 1 )
n = 0 つまり 2n = 1 とすると、aは整数のため左辺は常に偶数となるが、 m > n から 2m-n は常に偶数、右辺の (2m-n + 1) は常に奇数となり、矛盾するためnは1以上の整数だといえる。
さらに両辺を2で割ると
a2 = 2n-1 (2m-n + 1) ---- (4)
nは1以上の整数であり m > n のため、2n-1も(2m-n + 1) も整数となる。
もしnが2以上の整数なら右辺は常に偶数となるが、aは奇数のため左辺の a2 も奇数になる。
このとき、式は矛盾してしまうため、 n = 1 。 ---- (5)
(4)式に代入すると a2 = 20 (2m-1 + 1) = 2m-1 + 1 。
よって、
a2 - 1 = (a + 1) (a - 1) = 2m-1
aは正の整数のため、 a + 1 > a - 1 ≧ 0 であることから、
a + 1 = 2p ---- (6)、 a - 1= 2q ---- (7)、 p + q = m - 1 ( p, q は0以上の整数で、 p > q とする。)と表すことができる。
(6)式と(7)式の両辺を足すと
a + 1 + a - 1 = 2p + 2q
整理すると
2a = 2q (2p-q + 1)
同様に q = 0 のときは両辺の偶奇が矛盾するため、qは1以上の整数だといえる。
さらに両辺を2で割ると
a = 2q-1 (2p-q + 1)
qは1以上の整数であり p > q のため、 2q-1 も (2p-q + 1) も整数となる。
もしqが2以上の整数なら、右辺は常に偶数となるが左辺のaは奇数のため、式は矛盾することから、 q = 1 。
(7)式に代入すると、
a - 1 = 21 = 2
a = 2 + 1 = 3 ---- (8)
これと(2) 式と(5) 式から a2 - b = 32 - b = 21 = 2n
よって、b = 9 - 2 = 7 ---- (9)
(8)式と(9)式を与式に代入すると
a4 = b2 + 2c
34 = 72 + 2c
2c = 34 - 72 = 81 - 49 = 32
よって、c=5 ---- (10)
(8)式、(9)式、(10)式をまとめると、題意を満たす (a, b, c) の組は (3, 7, 5) 。
説明
整数問題といえば、いくつかの解法パターンがありますが、王道は積の形をつくるものです。
例えば、「 A×B = 7 」といった形にするということです。
この解法の注意点は2つです。
1つは積の形にした要素(上記でいうとAとB)および積の結果(上記でいうと7)はすべて整数であることを確認する、ということです。
整数という条件があることでパターンを絞ることができます。
上記の例でいうと、7は素数のため、整数という条件があれば(A,B)の組み合わせは (1,7), (7,1), (-1,-7), (-7,-1) の4通りに限られます。
仮に、Aは1以上の整数という条件がつくと組み合わせはさらに2通りに絞れます。
しかし、整数に限らない場合は 1/2×14 も成立するなど、無限に組み合わせが存在するため、絞ることができなくなります。
もう1つは絶対ではないですが、考えられる積の組み合わせが少ないことです。
例えば「 A×B = 1800 」を考える場合、素因数分解すると 1800=23×32×52 となるため、Aは1以上の整数という条件をつけても、(A,B)の組み合わせは (3+1)×(2+1)×(2+1) = 36通りあり、負数同士の掛け算まで含めると倍の72通りもあります。
他にしぼれる条件でもない限り、有限ではあるもののテストなど時間が限られた状況で全て検討するのは困難です。
今回の問題では、因数分解は容易に導けると思いますが、積の結果が2cとなりcの上限値が不明なため、積の組み合わせが無限に存在し、一見すると積の形にする解法は向かないように思えます。しかし、積の結果に素因数が2しかないにも関わらず「aが奇数」という条件はあるため、絞り込みは可能かもしれない、という希望のもとにこの解法ですすめます。
積の形にしてそれぞれの因数で式を作りますが、2c×1 という組み合わせがあり得るため、nは0という可能性もあるという定義にいったんしています。なお、同じ数に正の整数(0ではない)を足し引きしているので、m=nとなる可能性はありません。
積の形にしてそれぞれの因数で式を作ったあとは、1文字消去をするのが定石
です。2式の引き算でaを消去することも可能ですが、bが1以上の整数という条件しかないのに対してaはそれに加えて奇数という条件もあるため、ここではaを残してbを消去しています。
1文字消去したら当然2で割りたくなるのですが、ここで問題になるのが2で割ると整数でなくなる可能性がでてくることです。先に述べた通り、整数という条件がないと絞り込みができません。
整数問題では奇数と偶数に着目することも多いですが、ここでもaが奇数という前提があるので、この点に着目して絞り込みを行います。
もっとも、この時点では求めなくてはいけない a, b, c は絞り込みができませんが、絞り込んだ値を代入して、さらに同様に絞り込みを行っていけば a, b, c の組み合わせを確定できます。
この問題では同じようなことを繰り返すので、求めるべきものは何かを常に意識して丁寧に進めて、パニックになったりミスをしたりしないように気を付けることが重要です。
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